診療の特色
動物行動クリニックなかのは、動物たちの一生によりそい、以下の診療をおこなっています。
しつけ相談/飼育相談
社会化期~若年期の動物のことや、動物の心を育てるために必要なことを知っていただくことで、将来の問題行動を予防することができます。
動物はその種や品種、性別、遺伝的な性質、育った環境などによって異なる特性をもっています。
それぞれの特性に合わせた しつけ方・暮らし方が、動物たちの一生をより安心なものにします。
当クリニックでは、社会化期のアドバイス、しつけ相談、生活ルールの作り方、フードに関する相談、幼稚園やしつけ教室の選び方、避妊去勢手術と行動変化についてのご相談などに、専門知識をもって対応しています。
以下の項目に当てはまる飼主さま、一度 行動診療を受けてみませんか。
犬
- 犬を飼うのは初めてだ
- 『社会化期』が何かわからない
- 『犬は家族に順位をつける』と思っている
- 子犬の甘噛みがひどい
- 子犬の食糞がひどい
- 子犬が散歩嫌い
- 怖がりな子犬を迎えた
- 犬が何を考えているかわからない
- 去勢・避妊手術を迷っている
猫
- 猫を飼うのは初めてだ
- 抱っこできる猫にしたい
- 子猫の甘噛みや跳びつきがひどい
- 怖がりな子猫を迎えた
- 猫が何を考えているかわからない
- 猫を多頭飼いしている
- 去勢・避妊手術を迷っている
まちがった知識や、しつけと思いこんでおこなった体罰が、犬(猫)の攻撃性を育てているケースはとても多いです。
犬が「ウー」とうなり牙を見せる前に、ぜひご相談ください。
問題行動の治療
当クリニックの問題行動相談は、動物行動学の専門知識を持った獣医師がおこなうカウンセリング形態の治療です。
言葉を話せない動物たちが行動によって訴えていること、病気が隠れているのか、生活の中で困っているのか...、それらを紐解いて必要ならば治療をおこない、よりよい暮らし方を提案させていただきます。
トレーナーによるトレーニングとの違い
- 動物の行動の原因に病気が関連していないかを診断できる
- 病気が原因となっている行動の変化に対しても治療やアドバイスができる
- 動物の行動を修正するだけでなく、飼主さまの暮らし方も調整できる
- 動物のストレスを明らかにして、動物が内面に抱える不安に対処できる
- 起きている行動に対して原因を特定し、診断と治療ができる
こんな行動に困ったら、ご相談ください
犬
- 吠える
- かむ、うなる
- 犬同士でケンカする
- とびつき、マウンティング
- 怖がり、不安による行動
- 留守番ができない
- パニックをおこす
- 物を壊す
- 排泄のトラブル、マーキング
- 尾を追いかけて回る、尾をかむ
- 過剰に自分の手足をなめる、かじる
- ウンチを食べる
猫
- かむ、ひっかく
- 猫同士でケンカする
- 怖がり、不安による行動
- パニックをおこす
- 排泄のトラブル、マーキング
- 過剰な毛づくろい、毛をむしる
- 家具や壁での爪とぎ
- つかまらない、さわれない
- 家出や放浪
- ダイエットができない
行動診療科では動物の行動を変えるだけでなく、動物の生活環境や飼主さんの関わり方など様々な面を変えることによって動物たちの行動にアプローチしていきます。
治療方法は多岐にわたるため例を挙げるのが難しいですが、ブログに治療についてや症例紹介を載せていますので、参考にしてください。
動物の年齢によって行動の変わりやすさは違いますが、成犬・成猫や高齢動物でも、飼主との関係の再構築やストレスの少ない環境作りによって行動は変わります。
「うちの子はしょうがない」と思う前に、ぜひ一度ご相談ください。必ず今よりもよくなります☆
高齢期の行動トラブルの予防と治療
当クリニックでは、高齢期の認知機能低下による行動変化や夜鳴きの予防と改善のお手伝いもおこなっています
犬猫が高齢で寝ている時間が増え、目が見えにくくなり、耳が聞こえにくくなったときに、「静かに暮らそう」と考える飼主さまが多いのですが、生活内の刺激を減らしてしまうと心身の老化は加速します。
また、人の気配に気づいていない状態で突然さわられることで、驚き、身を守るために咬むようになる子もいます。
いっしょに暮らす動物たちに老いを感じたら、より明るくにぎやかに暮らしてあげましょう。
高齢期の活動量の低下や性格の変化は、加齢のせいだけではなく、病気がかくれていたり脳が栄養不足を起こしたりしていることもあります。
以下の項目に心当たりのある飼主さま、一度 行動診療を受けてみませんか。
犬、猫
- 高齢になり、寝てばかりになった
- 足が弱くなってきた
- トイレやフードの場所を間違えるようになった
- ボーッと立ちつくしていることがある
- 認知機能の低下が気になる、予防したい
- 夜鳴きに困っている
- 元気に年をとってほしい
認知機能低下による行動変化や夜鳴き、四肢の筋力低下を、生活の中で予防し改善させることを目指して、
当クリニックでは以下のようなことをおこなっています。
- 高齢性認知機能低下症の診断と治療
- 夜鳴き(夜間せん妄)の診断と治療
- 機能を維持する生活環境の提案
- 介護や機能維持のための便利グッズの紹介
- 機能向上トレーニングの指導
- 個々の状態に適したサプリメントの選択と紹介
- 行動症状を緩和させるためのお薬の処方
- ターミナルケア(終末期医療)のサポート
- 飼主さまのグリーフケア(心の整理)のお手伝い
高齢期の不安やお悩み、なんでもご相談ください。
飼う前相談・出会いコーディネート
動物を家族として迎えたいと思った時、その動物を迎える時期や、動物の種類、品種、性別、年齢、性質、どこから手に入れるかなどによっても、その後の動物との暮らしが異なるということをご存知ですか?
問題行動と呼ばれる行動の中には、人と動物の特性との「ミスマッチ(※)」が原因となっていることも多くあります。
当クリニックでは、問題行動がなく、心健やかに人と動物が暮らせる家庭が増え、命を大切に思える子供が増えることを願い、飼育前アドバイスにも力をいれています。
また、一人っ子の動物のもとに2匹目を迎えるときに関係がうまくいかないケースも多くあり、出会いのコーディネートのアドバイスもおこなっています。
以下の項目に心当たりがあるかたは、どうぞ気軽にご相談ください
犬、猫、うさぎ、小動物など
- 動物を飼ったことがないが飼いたい
- 留守時間があるが動物と暮らしたい
- 自分の生活スタイルにあった動物を知りたい
- どんな動物を飼うか迷っている
- オスを飼うかメスを飼うか迷っている
- 保護犬・保護猫に興味があるが飼えるか不安だ
- 抱っこできる猫にしたいがどんな子を選べばよいか
- 子供の年齢や性格に合った動物を選びたい
- 子供が何歳のときに動物を飼うとよいか知りたい
- 先住動物と相性のいい動物を選びたい
- 2匹目を迎えたが、先住動物とうまくいっていない
いつ、どんな動物を迎え、どのように心を育てるか、もちろん備えあれば憂いは少ないものです。 とはいえ実際は、出逢いを大切にする日本人は備えずに感覚で動物を決めてしまうことの方が多いですが、その場合は正しい情報を知って、心豊かな子に育てましょう。
どんな子と暮らすことになったとしても、正しい知識はあなたを裏切りません!
※ 人(性格や暮らし方)と犬の特性のミスマッチによる問題行動の例
- 犬が吠えると困る住宅条件なのに、よく吠えるダックスフントを飼ってしまった(無駄吠え)
- 子供のための犬なのに、警戒心の強いチワワを飼い、子供を咬むようになった(攻撃行動)
- 充分に散歩させる時間がないのに犬(大型)を飼い、家具を壊された(破壊行動)
- 散歩させる時間がないのに犬(小型)を飼い、重度の怖がりに育った(不安行動)
ストレス スクリーニング
人間の社会や暮らしに合わせて生きる動物たちは、さまざまなストレスを抱えていますが、人間には気づかれていないこともしばしばあります。
ストレスが問題行動として現れる子であれば気づいてもらいケアしてもらうことができますが、ジッと我慢している子は人に気づかれずにストレスをためこみ、免疫力を下げたり、病気を悪化させたりしていることがあります。
慢性の病気がある子、元気のなさが気になる子のストレス調べを行動学的な視点からおこない、改善のお手伝いをしています。
以下の項目に当てはまる子は、一度ストレス スクリーニングをしてみませんか。
- 頻繁に手足や体をなめている
- アレルギー性の病気がある
- てんかん発作がある
- 膀胱炎をくり返している
- 関節の痛みをくり返している
- その他、慢性の病気の闘病中
動物のストレスを考えるときに指標となる『5つの自由(解放)』という提言があります。
これは、動物と暮らす人が守るべき、動物の権利と言われています。
「5つの自由」
- 飢えと渇きからの自由
- 充分な食餌と水がいつでも得られること
- 肉体的苦痛と不快からの自由
- 清潔で快適な生活環境があること
- 外傷や疾病からの自由
- ケガや病気の治療を受けられること
- 恐怖や不安からの自由
- 怖いものに怯えることなく安心して暮らせること
- 正常な行動を表現する自由
- その動物らしい行動(※)ができること
※狩りに関連する遊び行動、走る、匂いをかぐ、コミュニケーションをとるなどの行動のこと。退屈もストレスになります。
これらを暮らしの中で、どのような形ならば充分に取り入れられるか、飼主さまの生活スタイルに合わせて考え、幅広く提案しています。
栄養療法/栄養指導
問題行動の治療にたずさわる中で、脳のコンディションを薬だけで変えることに違和感をもち、人間の分子栄養療法(オーソモレキュラー療法)の勉強をはじめました。
人間の分子栄養療法では、血液検査によって体に不足している栄養素(ビタミンやミネラルなど)を調べるのですが、犬猫では人間と同じようにおこなうことができないため、日常の行動や体質、血液検査などから不足している可能性の高い栄養素を判断し、サプリメントや食べ物をご提案しています。
効果について、まず自分や家族、うちの老犬が実践してみて効果を実感できたものを基準にし、犬猫への安全性についてもできる限り調べながら、栄養素やサプリメントを選んでいます。
犬猫に、ビタミン(B、C、Dなど)ミネラル(鉄、亜鉛など)、アミノ酸、ω3脂肪酸、プレバイオティクスなどを使用し、これまでに以下のような改善例があります。
- 不安行動の改善
- 認知機能低下の改善
- アレルギー性皮膚炎の改善
- くり返す嘔吐や下痢の改善
- 高脂血症の改善
※上記の病気が栄養療法で必ず治るというわけではありません
栄養療法は あまり即効性がなく、行動変化もわからない程度のこともありますが、以下のような動物たちに、とにかく安全に取り入れることができる健康のための提案です。
- 問題行動の改善がうまくいかない
- お薬を減らしたい
- お薬を使いたくない
- 慢性の病気がどんどん悪くなっている
- 問題行動はないが体や心が弱い
ご興味があれば、気軽にご相談ください。
『問題行動』とは?
動物自体が困っていて現れる行動(手足を咬む、ぐるぐる回る、攻撃するなど)はもちろんですが、動物は健康であっても 飼主や周りの人が『困っている』行動はすべて問題行動と考えます。
正常な行動であっても困っている人がいるのであれば何でもご相談ください。
また、問題行動があるときは、動物たち自身も困っています。その原因を見つけて、よりよい生き方へと導きます。